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滋賀で地域の問題・課題を投稿し共有するサービスの実現は?

注目集める市民参加型投稿サイト

地域住民が普段気づいた地域の問題や課題をwebに投稿し共有する「市民参加の投稿サイト」に注目が集まってきた。
以前、滋賀咲くブログ(地域ブログポータル)を活用して同じようなサイトを構築する構想もあったものの、ブログでは少し敷居が高く実現には至らなかった。
スマホの普及や地図サービスの充実もそれを後押ししていて、すでに全国数カ所の自治体が実証実施を済ませている。
「市民参加の投稿サイト」についてはメディアの注目度合いも高く、恐らく現時点でも幾つかの自治体が計画を進めているのではないだろうか?

今回は自治体での導入例と導入に当たっての課題、それに「市民参加の投稿サイト」の役割は何だろうと整理してみた。

導入例

大阪市の「マイコミおおさか」(実証実験中)

大阪市が4月14日からFixMyStreetを活用して実証実験「マイコミおおさか」を始めている。
※FixMyStreetとその導入と課題などについてはOKFJのFixMyStreetでガバメント2.0を始めよう!がわかりやすい。

<橋本市長記者会見>

大阪市のサイトで投稿対象の情報は

・地域における道路、ごみ、その他の課題等
・投稿された課題に対する対応状況
・地域の中の「これはいいね!」という情報(おすすめの花見スポットなど)

となっていて、三つ目の「これはいいね!」が特徴的?

千葉市の「ちばレポ」(実証実験終了)

以前の記事「千葉市が取り組むオープンデータのとおり、千葉市は2013年オリジナルアプリケーションを利用して実証実験を完了し、その評価報告書を市のwebサイトで公開している
※千葉市は2013年2月~FixMyStreetで試行し、オリジナル開発したアプリで実証実験を行っている。
※関連記事:スマホが地域と行政を変える?注目したい!千葉市とマイクロソフトの取り組み

半田市の「マイレポはんだ」(実証実験終了)

愛知県半田市が、大阪市と同じFixMyStreetを利用して2014年3月末まで実証実験を実施。市内にキャンパスがある日本福祉大学の学生も参加
市のサイトによると5月上旬に報告書を公開予定。
※関連記事:マイレポはんだ

戸田市(計画中)

埼玉県戸田市がオリジナルアプリを開発中。アプリ開発段階から市民が参加。
市民との協働によるスマートフォン用アプリの開発(戸田市)
※関連記事:「スマホで市民と情報共有 戸田市、スマホでアプリ開発へ」

北九州市の「みんなで作る地図」(実施中)

近隣5市町が運営する地域情報ポータルサイト「G-motty」内に構築。
課題投稿サイトではないが「市民が参加する防災地図」を目的に、自動販売機、トイレ、公園、観光、証明写真、喫煙所の場所を誰でも投稿できる。
投稿にはesriが提供するArcGISのスマホアプリを利用している。
※関連記事:スマホで投稿、防災地図作り 北九州市が実証実験|西日本新聞

日本の「ガバメント2.0」

「市民参加の投稿サイト」を行政サービスに活用する取り組みは海外から広がっていて、前出の「FixMyStreet」の他に「seeclickfix」も日本語投稿対応している。
海外では「ITを活用し市民の英知を行政に反映させる」として、ティム・オライリーが提唱した「ガバメント2.0」の取り組みが進んでいる。「市民参加の投稿サイト」もそのひとつとして2013年4月1日放送のNHKクローズアップ現代で取り上げられていた。
※参考サイト:ガバメント2.0市民の英知が社会を変える|NHKクローズアップ現代
番組では「財政難に悩む自治体が、公共施設のメンテナンスを市民に担ってもらおうという取り組みを始めた」と千葉市の例を紹介している。投稿サイトの導入にあたり、市の担当者から「もし万が一(市民が)修理したもので他の市民がけがした場合、責任はどう取るのか。」「誰でも(情報を)送れると、いたずらも出てくると思う。いたずらを防止するにはどうしたらいいのか。」などと、抵抗もあったと紹介している。

千葉市の報告書から

大変参考になったので一部を引用させていただいた。

<実証実験に参加した市民のコメント>

・千葉みなとの駅前はタイルが敷かれているが、今回のまち歩きで、剥がれている箇所を見つけた。剥がれた箇所はアスファルトで修復するとのことだが、それでは景観を損ねることになるのではと疑問が湧いた。また、まち歩きに参加をしてみてまちを見る視点が変わった気がする。
・公園にごみが落ちていたが、それを投稿するよりも自分で捨ててしまった方が早いのではないかという意識が芽生えた。レポートすることよりも課題に意識が行くようになった。

<多くのレポートが公開できていない理由について市役所のコメント>

公表に至ってない案件としては「その他」の分野のレポートが多くなっています。
これは、「道路」「公園」「ごみ」に関しては、庁内の実証実験チームに参加している各所管事務所が、日々担当案件を直接モニタリングーを行い対応していますが、「その他」に関しては、今回の実証実験の事務局においてモニターし、レポート案件の担当となるべき所管課や国・県・警察等の関係機関を探し出し、案件の概要等を説明するとともに、公開の可否や対応方策の検討を依頼するという手順を踏んでおり、スムーズに公開をすることができないことが原因となっています。

発想の転換を!

市民、行政とも発想の転換をしないと「市民参加型の投稿サイト」は機能しない。
「便利な通報システム」ができたと市民が捉え、そこに投稿すれば市役所がなんでも解決してくれると思ってしまっては、これまでの市民の行政の関係と変わりない。
また、行政からするとシステムを通じて地域の問題が共有されるのだから、市民も感心を持つだろうし、たまには市民の力で解決もしてくれるだろう・・・と一方的に期待したのでは何も変わらない。さらに、組織や責任範囲などの問題が整理されないと先に進めない。組織や責任範囲を現状のまま取り組めばどこかで行き詰まることは間違いない。

ゲーミフィケーション

インドのタイヤメーカー「APOLLO」がおもしろい取り組みで道路のくぼみを修繕する取り組みを行った。
※参考サイト:バンピーが大変!スリーピーを助けて!道路の陥没にニックネームをつけて修復を促す「ADOPT A POTHOLE PROJECT」

地域課題解決にゲーミフィケーションを取り入れ、市民の注目と関心を集め、「参加してみよう!」と思える取り組みにしていくことも方法の一つ。
もちろん、その根本は単にゲームに参加するという気持ちでは無く、楽しみながら地域の課題が解決されるのなら積極的に関わろうという気持ちが芽生えるような仕組みでなければ継続性が無くなる。
そのためにICT(情報コミュニケーション技術)が担う役割は大きく、また沢山の可能性を秘めている。これの取り回し方次第で成果は大きく違ってくるだろう。

防災の観点からも

東日本大震災以降、災害時にネットが果たす役割には大きな期待が集まっている。その後も水害や雪害などでSNSやGISで成果を上げた事例も少なくなく、災害時に効果的に活用できるサイトをどう構築するか自治体等で検討が進んでいると思われる。
こうした防災サイトのポイントは、如何に日常的に活用されているサービスかであり、その意味でも「市民参加の投稿サイト」がそれを担える。
日常的には市民と行政、あるいは市民間のコミュニティサイトとして機能し、いざ災害となれば危険箇所や救助要請などをリアルタイムで画像・動画付きで投稿できる防災サイトとして機能する。
日常的に投稿に慣れた市民は災害時に大きな役割を果たせると期待できる。

滋賀での実証実験はあるか?

導入は市長さん自ら強力なリーダーシップを発揮するか、担当部署が恐ろしく積極的かいずれかでないと不可能だと思う。
滋賀県内にそれに該当する自治体があるかどうかはわからないが、自治体ごとの事情に応じた取り組みを是非行っていただきたい。
個人的に民間レベルで実証実験をできればと計画している。